バキューム
ほぼ無痛の歯科治療の実現のためには、意外な部分への配慮が必要となります。
それは、皆さんのお口の中に溜まった水を吸うバキュームという機械の使い方です。このバキュームの先が歯茎に当たって痛みを感じたり、舌を押さえつけられてしんどかったり、喉の奥に突っ込まれて痛かったことや、気持ち悪かったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?

そうなんです。あの先端に付いているゴムのチップが意外と痛いんですよね。でも、歯医者の先生もスタッフも、ゴムなんだからそんなに痛くないだろうと考えて、遠慮なく歯茎や粘膜に当ててしまいます。これでは、せっかく歯医者の先生が痛みが出ないように配慮してても、アシスタントをしているスタッフが皆さんに痛い思いさせてしまっては意味がなくなってしまいます。

ここで、ある疑問が出てきます。そもそもなぜあのバキュームは痛みを伴ってしまうのでしょうか?水を吸うためだけのものなのに、別に痛くなるようにしなくてもいいのではないか?というものです。

では、ここからは皆さんにとってのバキュームのイメージではなく、私たち歯科医院側にとってのバキュームの役割について、お話ししたいと思います。

バキュームは実は水を吸うことは、私たちにとっては本来の目的ではありません。意外じゃないですか?『えっ?水を吸うことが目的じゃないんですか?』と新人スタッフの教育のときにも驚かれることが多いぐらいです。

本来の目的は何なのでしょうか?それは、皆さんの安全確保のためなのです。それが一番の目的です。でも、それってどういうこと?という声が聞こえてきそうですね。

私たちの使う機械や器具は、高速で回転しているものや尖っているものなど、皆さんを傷つけるものが多いことは想像できるかと思います。治療中にちょっと当たるだけで粘膜がスパッと切れてしまったり、刺さってしまいます。また、治療の途中に皆さんが痛みを感じたり、ウトウトしたりして、ちょっとでも動いてしまうと、そういうことが起こることもあります。せっかく歯を治しに来てるのに、違うところをケガしてしまうのでは、何しに来たのかわかりません。

そういったことを防ぐために、私たちはバキュームを使っています。頬の粘膜や舌に回転している機械や先端が尖っている器具が当たらないようにすることで、その部位を保護して守ります。また、粘膜や舌を避けることで治療部位を見やすく、ライトも当たりやすくする効果もあります。さらに、水だけではなく水蒸気も吸うことができるため、詰め物や被せ物を接着する治療の際にも役立ちます(歯科用の接着剤も水分には弱いため、息の中に含まれる水分も接着力を弱める原因になるのです)。

このような役目を果たしながら、口の中に残った水を吸うためにバキュームをしています。先ほどもお話しした通り、最も大事な役目は治療時のケガの防止です。その意識がアシスタントのスタッフにはあるため、どうしても粘膜や舌を傷つけないように避けようと力が入ってしまったり、必要以上に押し付けてしまったりしてしまうのです。つまり、痛みを与えようとして押し付けているわけではなく、皆さんを守るために頑張っているだけなのです。

じゃあ、痛いのは仕方ないから諦めなければいけないのかという話になります。そんなことはありません。皆さんを保護しながら、かつ痛みのないようにアシストをすればいいのです。それは、もちろん簡単なことではありません。集中力もとても必要になります。

そのため岡本歯科ロコクリニックでは、5時間しか診療をしないのです。朝から8時間も働いて、集中力がずっと持続するでしょうか?それは、とても難しいことだと思います。しかも毎日です。逆に治療を受ける立場になったときに、集中力の切れた先生やスタッフに診てもらいたいかというと、私の答えはノーでした。『自分がしてほしくないことはしない』これは、私が勤務していた医院のモットーでした。自分の立場からだけではなく、相手の立場に立って物事を見なければいけないということを教わりました。非常に大切なことだと思います。

私たちは知らず知らずの間に、自分たちの立場からしか考えられなくなりがちです。だからこそ、私たちは患者さんの立場に立って考えます。何が一番嬉しいのだろう、喜べるのだろう、ハッピーになれるだろう、と。その答えの一つが最高の状態(ベストコンディション)で治療をしてほしいというものでした。そのために、私たちは1日5時間の診療という選択肢をとりました。

また、15時以降は少しでも皆さんが快適に治療を受けられるように、研修(技術指導など)もしています。これも大事なことです。もし、夜まで仕事をしていて、その後に研修をしていれば、集中力も切れてしまうでしょうし、なによりやりたくない研修になります。そんな遅い時間に研修をして、帰る時間もとても遅くなる。寝不足になってしまい、次の日の診療にも影響がでる。悪循環です。どうせやるなら、効果的な研修をしたい、スタッフにとっても皆さんにとっても多くのメリットがあるものをしたいのです。そのために、このような時間に医院を閉めています。

皆さんにはご迷惑もお掛けするとは思いますが、少しでも快適に治療を受けて頂くためには必須だと思っております、ご理解の程、よろしくお願いいたします。このように、バキュームにも配慮し、ほぼ無痛の歯科治療に努めたいと考えております。
医療法人社団 咲生会
岡本歯科ロコクリニック


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