神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
皆さんは、自分の「舌の表面」を見た事がありますか?鏡で見ると、舌に苔が生えているように見えます。どうしてそのように見えるのか?取った方がよいのか?今回は舌に関する疑問にお答えします。
鏡で見ると、舌の中央部が苔が生えているように見えませんか?
正確には、苔ではなく舌の表面に存在している先の尖った「糸状乳頭」と呼ばれる突起です。その先端が2~3本に枝分かれすることもあり、苔のように見えています。苔に見えるほど細かくなっているのは、物をなめるときに役に立つと考えられているからです。正式な名前は、舌に生えた苔のように見えるため、「舌苔(ゼッタイ)」と呼ばれています。
舌は古来から東洋医学などで、全身の健康状態を診断する重要なポイントの1つとされています。これらは「舌診」と呼ばれ、舌の全体の形や色つや、そして舌苔の状態、舌の裏の血管の状態などを総合的に観察して、健康状態を把握するというものです。特に上部消化器官との関連が深いと言われています。ちなみに正常の状態では、薄く白い苔のように見えます。
舌苔の変化で概ね次のようなことがわかるとされています。
1 舌苔の量が多い
胃や腸などに何らかの症状がある。舌の本体が見えないほど、大量の舌苔がある場合には、症状が重いことをあらわしています。
2舌苔がまったくない
一見健康そうですが、これは異常です。体の水分が少ない、栄養不足といった状態を表しています。
3舌苔が黄色い
熱がある、水分が不足している、胃腸が弱っているなどの状態を示すことがあります。
4舌苔が黒い
舌苔が黄色い状態より、さらに症状が進行していると考えられる。
実際の舌診では、舌苔のほかにも、舌の形や色のさまざまな組み合わせを総合的に判断して、体調を判断するようです。皆さんも風邪をひいて、熱が出たときなど、鏡で舌を見ると色や形、舌苔の状態が普段の状態と違うのが判ると思います。苔のように見えるからといっても、それは体からのシグナルの1つです。舌苔がどんなに汚く見えたとしても、舌クリーナーなどを使って舌の表面を強引に削り落とすようなことは、あまりお勧めしません。むしろブラシなどで強い刺激を与えると、舌の表面は簡単に傷つき、炎症を起こしてしまいます。
舌苔が大量に発生した原因は、体調や胃腸などに何らかの原因があるからとも言えます。舌のクリーニングはしなくても、体調が改善すれば、舌苔も自然に正常の状態に戻ると考えられます。
但し、介護が必要なお年寄りなどで自分で歯磨きを行なえない場合などは、舌の表面にも食べ物が残ってしまいがちです。このようなときは歯磨きと一緒に舌の表面の汚れも、軽く取ってあげましょう。