神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。待ち時間の少ない、ほぼ無痛(痛くない)虫歯治療、しっかりとした説明、日曜診療などに取り組んでいます。
今回はむし歯の治療についてお話させていただきます。
そもそも治療とは「病気やケガを治すこと」ですよね。
歯医者に来院される方は顎が痛い、歯並びを直してほしい、ホワイトニングをしてほしい、インプラントを入れてほしいなどの希望ももちろんありますが、大半はむし歯と歯周病の治療をしてほしいという希望で来院されます。
内科を受診された場合は風邪薬などをもらって元の状態に戻りますね。
骨折して外科を受診した場合、骨がまたくっついて元の状態に戻りますね。
これは治療です。
ではむし歯の治療とは具体的に何でしょうか?
まずむし歯を削って取り除きます。そのあと歯は元の状態に戻るでしょうか?
形は戻りますが、元の歯ではなく人工物に置き換わります。
これをむし歯の治療と言いますが、元の状態には戻っていないので厳密には治療と言えないのかもしれません。
なぜここまでこだわるのかというと、何も説明を受けられていない患者様、さらに勉強していない医療関係者でさえもむし歯を削って修復すると全て解決したと勘違いしているからです。
実はむし歯を治療した場所は再びむし歯になるリスクがかなり高いのです。
その理由として2つあります。
①そもそもむし歯になりやすい場所だから
むし歯は簡単に言うと食べ残しが残りやすく、甘いものが通過する頻度が高い場所に起こります。
例えば、奥歯の噛み合わせの面はむし歯になりやすいです。なぜなら溝が複雑なので歯ブラシが届きにくいからです。
また上の前歯もむし歯になりやすいです。なぜなら甘い飲み物などが頻繁に通過する場所だからです。
原因がそれぞれ違いますね。
奥歯の噛み合わせの溝が複雑なのであれば予防的に溝を樹脂で埋めておけばむし歯にならないです(シーラントと言います)。
前歯のむし歯は甘いものの摂取頻度の問題なので習慣的に飲む飲料を糖質を含まないものに変更することで解決します。
このようにそもそもなぜその歯のその部位がむし歯になったのかを理解しないといけません。
そうでないと同じ原因で同じ場所がむし歯になります。
患者様が自身で原因に気づく事は当然難しく、歯科医院側は必ずお伝えする義務があると考えています。
それが重要なので当院では本格的な治療前に必ず30分程度お話の時間を頂いているのです。
再発を防ぐためには必須です。
②人工物は完璧なものではないから
これは実はすごく重要です。
むし歯を削った口の中には樹脂や金属、セラミックなどが入りますが材質の変形(温度差、吸水性、噛む力)が起こります。
また修復物は技工士が作成しますが、技工士が作る模型の変形(模型は石膏なので吸水膨張などがあります)や作製する修復物の完成度などにも実は差があります。
このように様々な要因で歯科医師側がイメージした完璧なものを人工物で再現するのははっきり言って不可能です。
ですので人工物が入っている場所はむし歯の再発リスクが高いのです。
この問題に対しても解決方法があり、材質の種類、優秀な技工士を選ぶことで限りなく誤差を少なくし、生体が許容できる(歯ブラシや歯科衛生士の専門的クリーニングでフォローできる)レベルに落ち着かせることが可能です。
以上のようにむし歯一本を治療するといってもまず原因を考え、将来的なリスクをふまえた修復を行うことで初めてむし歯の治療と言えるのではないでしょうか。