妊婦さんと赤ちゃんのお口の話

神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。待ち時間の少ない、ほぼ無痛(痛くない)虫歯治療、しっかりとした説明、日曜診療などに取り組んでいます。
今回は、妊婦さんと赤ちゃんのお口のお話をしたいと思います。

まず、妊婦さんにみられるお口の症状はどんなものがあるでしょうか。
妊娠による身体の変化はお口の中にも著しく現れることがあります。ホルモンバランスの変化、食生活パターンの変化などが妊婦さんのお口の環境を悪くし、次のような症状がみられます。
(1)歯肉炎・歯周炎
妊婦さんのお口には、歯肉炎や歯周炎が比較的多く見られます。その原因は、つわりや間食の増加などによって歯磨きを充分に行えないなどの理由で、お口の中が不潔になりやすいこと、及び女性ホルモンの増加などの影響で炎症症状がより強く現れるためと考えられています。
一方、歯周炎をもつ妊婦は早産や低体重児を出産する確率が高くなるという報告がなされています。北海道医療大学による疫学調査では、歯周病の妊婦は、そうでない妊婦に比べ、約5倍も早産になりやすかったという驚くべき結果が出ています。海外のデータでも、歯周病が進んだ妊婦では早産および低体重児出産の危険性が7倍高まるといった報告や、歯周病が進んだ妊婦ほど早産の頻度が高かったという報告などがあります。
(2)むし歯
一般に妊娠すると急にむし歯が増えると思われがちですが、妊娠中にむし歯が増えるという証拠はなく、直接の関連はありません。しかし、つわりや間食の増加のためにお口の清掃が不十分になりがちであったり、女性ホルモンの増加により唾液の性状が変わるため、むし歯になりやすい状態であると考えられています。
(3)妊娠性エプーリス(歯ぐきのできもの)
歯ぐきにできる良性の腫瘤(できもの)で、主に妊娠3ヶ月以降にみられることがあります。強い赤みを帯びた出血しやすいできもので、分娩とともに小さくなり自然消失する場合もあります。
原因として、機械的刺激と感染による炎症性刺激などの外的要因に加え、女性ホルモンの変化(妊娠)による内的要因が大きく関与していると考えられています。

そして次には、お腹の中の赤ちゃんについてです。
(1)お腹の中の赤ちゃんの発育について
妊娠7週頃には、目、耳、口などができ始め、手や足の指もでき、心臓が動いているのがわかるようになります。妊娠8週頃から人間らしい形となり、妊娠12週頃より男の子か女の子かがわかるようになります。妊娠17~18週頃になるとお母さんは赤ちゃんがお腹の中で動くのが感じられるようになります。
体の各部分の形が整ってくる妊娠初期、特に妊娠2ヶ月までのお腹の中の赤ちゃんは、いろいろな悪影響を受けやすく、それが原因で奇形や流産になることにもありますので、ウイルス性疾患(特に風疹)や歯科治療など充分な注意が必要です。
(2)赤ちゃんの歯(乳歯)や大人の歯(永久歯)はいつできるの?胎児期、つまりお母さんのお腹の中にいる時にすでに歯が形成されつつあるんです。すべての乳歯は胎生7~10週に歯胚形成が、胎生4~6ヶ月に石灰化が始まるのです。乳歯の歯冠が完成するのは生まれてからになりますが、お母さんから栄養をもらいながら、石灰化は進んでいきます。そのため、歯の形成に必要な良質のタンパク質やカルシウム、リンなどの無機質、ビタミンA、Dなどが不足しないように栄養バランスを考えた食事をとるようにしましょう。
永久歯でも、中切歯・側切歯・犬歯・第1大臼歯の歯胚形成が、お母さんのお腹の中で始まっています。驚きですよね。
(3)なぜ赤ちゃんは生まれたあとすぐにオッパイが飲めるのでしょうか?
胎生4週目には、外から見ても分かるような横に裂けた口の原型ができてきます。6週目頃より手が伸びてきて、7週目ではしゃがみ込む形になり、口元に手が触れる状態になります。 胎生8週頃より、口の周囲への刺激に反応がみられるようになります。そして4ヶ月の終わり頃より、吸てつ反射(指しゃぶり)が始まり、 それと同時に探索反射(何かがきたら必ずそこに口をもっていく)もみられるようになります。また、5ヶ月頃より、胎児が羊水を飲む羊水嚥下が始まります。一日に450mlの羊水を飲んで、胎児自身の腎臓できれいにして尿として出しそれがまた羊水になるのです。
このように、お腹の中の赤ちゃんは出生後すぐお母さんのお乳が飲めるように、探索反射(乳首を探して口にもっていく)、吸てつ反射(乳首を口に含む)、羊水嚥下(お乳を吸って飲む)を、羊水中で繰り返し練習しているのです。すごいですね。

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