神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
唾液には、いろいろな役割があることがわかっています。
その役割とは、消化作用・お口の粘膜の保護作用・洗浄作用・殺菌作用・緩衝作用・再石灰化作用・排出作用の7つです。今回は順にご説明していきたいと思います。
①消化作用(食べ物を消化する働き)
消化といえば、胃や腸の役割の様なイメージですが、実は唾液も消化作用の一翼を担っています。
唾液の中には、βアミラーゼという酵素成分が入っています。これは、でんぷんを分解する作用がある消化液の一種です。
食べ物を噛めば噛むほど、唾液はたくさん出されます。言い換えれば消化液がたくさん出てくることになり、お米やパンなどの炭水化物が消化されることになります。
この作用があるおかげで、消化時の胃腸の負担を軽減することが出来ます。ただし、タンパク質を分解する酵素は含まれていないため、タンパク質を分解することは出来ません。
②湿潤・保護作用(お口の中に傷が出来ない様に守る働き)
お口の中は、軟組織とよばれる舌や頬、唇などの軟らかい部分と、硬組織に分類される歯という硬い部分が共存しています。
歯は、身体の中で最も硬い、つまり骨よりも硬いという性質があります。そんな硬い部分が話をする時、食べる時、ずっと軟らかい部分に当たり続けています。
唾液には、軟組織部の動きを滑らかにする潤滑剤の作用があり、こすれて傷を付けるのを防いでくれています。
③洗浄作用(自浄作用)
歯の表面などについた食べカスを洗い流す作用があります。
④殺菌・抗菌作用(細菌が入ってくるのを防ぐ働き)
唾液にはリゾチームやラクトフェリンに代表される抗菌作用を持つ成分が含まれています。
これにより、お口を通して細菌がからだの中に侵入することを防いでくれています。
⑤緩衝作用(お口の中を中和してくれる働き)
むし歯の原因は、ストレプトコッカス・ミュータンスに代表されるむし歯菌という細菌です。
むし歯菌が歯の表面に生息し、そこの付着物を取り込んで代謝すると、かわりに乳酸を排出します。この乳酸はpHが酸性です。この作用で歯が溶かされて穴が開き、むし歯になります。
唾液には、この乳酸により酸性に傾いたお口の中のpHを中性に戻す作用があります。こうした作用を緩衝作用といいます。緩衝作用が強ければ強いほどむし歯に強い環境を作り出してくれます。
⑥再石灰化作用(むし歯を防ぐ働き)
むし歯になると自然に治ることはありませんが、むし歯に至る一歩手前の状態があります。
そんなときは、歯の表面が過度に白くなっています。唾液の中には、カルシウムやリン酸といったさまざまな無機物成分が含まれています。これらの成分が、むし歯の前段階である、歯の表面が白くなった状態のときに、元の状態に戻そうとしてくれる作用を発現します。これを再石灰化作用といいます。
⑦排出作用(異物などをからだから排除しようとする働き)
毒素や異物がお口に入ってきたとき、唾液がまとわりつくことでからだを守り、排出しやすくします。また、体内に投与された薬物の一部が唾液中より排出され、血中濃度を減じる作用をいいます。
続く。