神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
治療の途中で来なくなってしまった患者さんのことはとても気になります。今頃どうしているだろう、痛みはなくなったかな、あの歯はどうなっただろう、他の医院に通っているのかな…と、虫歯などの治療途中の歯の行く末を知っているだけに気になってしまいます。治療途中の歯を放置してほしくないというのには理由があるんです。
患者さんと歯科医師の間に認識の違いがあると、治療途中に通わなくなってしまうことが多いように感じます。
1.痛みがなくなった。
2.治療期間が長くて通うのが嫌になった。
3.仮に詰めた物で治療が終わったと思った。
4.忙しくなったり、引っ越しや転勤で通えなくなった。
などなど…。このような様々な理由で歯科治療から足が遠のいてしまった方がきっとたくさんいるのではないでしょうか。歯科医師の説明が足りず、まだ治療途中であることが伝わっていなかったりもするかもしれませんが、治療には患者さんの協力が必ず必要になります。痛みがなくなったら終わり、ではなく、その後からが本格的な治療の始まりでもあります。
では治療途中の歯はどんな状態なのでしょうか。また、放置するとどうなるのでしょうか。
まず、虫歯の治療途中です。
虫歯を削ったところが仮のお薬、仮のフタ、仮歯のままになっている場合があります。虫歯の治療を放置すると、削ったところがまた虫歯になります。虫歯が進行して神経を取らなければいけなくなる場合もでてきます。
歯の根っこの治療の場合はどうでしょう。
虫歯が進行したりして神経を取った後、最終的なお薬を詰めずに神経の通っていた管が空洞のままになっている可能性があります。歯の根っこの治療を放置すると、根っこの先端でバイ菌が繁殖して強い痛みが出る。虫歯がどんどん拡がり、最悪の場合歯を抜くことになります。
また、抜歯の治療途中の場合はどうでしょうか。
抜いた部分をそのままにしている場合、隣りの歯や、咬み合わせている歯が移動して、咬み合わせのバランスが崩れる可能性があります。
どうでしょうか。みなさんは治療途中になっている歯はありませんか?
なぜ歯の治療を途中でやめてほしくないのか、その答えは単純で、虫歯などの治療を始める前よりも状態が悪くなってしまうからなんです。治療途中の歯の状態はとても繊細です。途中でやめた歯の治療を再スタートさせる時は最初に予定していた治療内容より1段階ほど上の治療になると思ってください。
・大きく削る。
・神経を残せたはずなのに、神経を取らなくてはいけない。
・抜くはずじゃなかったのに抜かなくてはいけない。
などとなってしまうかもしれません。他の歯医者さんで治療途中のまま数ヵ月、数年経って来院された患者さんのお口の中にある放置された治療途中の歯を見て、治療を続けていてくださったらと心を痛めた経験があります。治療に通っている時は長いと感じるかもしれませんが、必要最小限の治療で済ませるには、途中で治療をやめずに一気に終わらせることが実は一番短期間で済ませる方法なのです。
一度治療から遠のいてしまうと先生に怒られてしまうんじゃないかとか、気まずくて行きづらいとか、いろいろな理由で歯科医院に来れない方もいらっしゃると思います。でも、大切な歯を少しでも良い状態で残すためには1日でも早く治療を再スタートさせていく必要があります。私たち歯科医師も、治療の回数や、今何をしているか、ここで治療をやめてしまうとどうなるかなど、患者さんに理解をしてもらえるような説明を心掛けることが日々の課題でもあると思っています。