神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
高齢者が虫歯になると、進行が早く、すぐに重篤な状態になってしまうことがあります。なぜ高齢者の虫歯は進行が早いのか、そして、高齢者が虫歯治療をすることでどのようなメリットがあるのかについてお話していきたいと思います。
高齢者の虫歯はなぜすぐに悪化するのでしょうか?
高齢の方が「なんとなく痛む気がする」と思って歯科医院に行くと、重度の虫歯で、すでに治療が行えない状況になっていることがあります。そうなると最悪の場合は、抜歯するしかありません。なぜ、このような状態になってしまうことがあるのでしょうか。
①エナメル質が薄いから
歯は歯髄(しずい)と呼ばれる神経部分を象牙質が覆い、その上をエナメル質が覆う構造になっています。エナメル質は硬く、虫歯菌は容易に進行することができません。しかし、虫歯菌が象牙質まで届くと、象牙質は柔らかいため、虫歯菌はすぐに象牙質を腐食して歯髄まで到達してしまうのです。
高齢の方は、長年のブラッシングや咀嚼(そしゃく)などによってエナメル質がすり減り、薄くなっている状態にあります。また、加齢によってもエナメル質は薄くなりますので、若いときに比べると数分の1の厚さになっていることもあります。そのため、虫歯菌の進行が容易になり、すぐに象牙質・歯髄にまで虫歯になってしまうのです。
②歯肉が痩せてきたから
加齢によって歯肉は痩せていきます。下の歯茎は下にさがりますし、上の歯茎は上に上がり、歯の長さが長くなったような印象を与えます。歯肉が痩せてくると、硬いエナメル質に覆われていない歯の根元の部分が出てきてしまっています。そのため、虫歯菌が直接歯の根元を攻撃し、虫歯になりやすくなってしまうのです。
③唾液の分泌量が減ったから
高齢になると、唾液の分泌量が減ります。唾液には虫歯菌が好む酸性の状態を中性に戻す効果がありますので、唾液分泌量が少ないと虫歯になりやすくなってしまうのです。
また、唾液には初期の虫歯(エナメル質が少し溶けた程度の虫歯)を治癒し、元に戻す作用もあります。唾液が豊富に分泌されないと、虫歯治療効果も作用しにくくなりますので、虫歯がそのまま進行してしまうことになるのです。
④義歯を利用する人が多いから
部分入れ歯を利用している方も多いでしょう。もちろん、欠損部分に入れ歯を入れることで生活の質を保つことは重要です。しかし、入れ歯の留め金部分には食べ物のカスが溜まりやすいですので、キレイにブラッシングをしないと留め金部分や入れ歯と他の歯の隙間が虫歯になってしまいます。