神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
今流行している新型コロナウイルスの感染の初期症状として、味覚障害が起こる事があるというのは、色々な報道などされているので、ご存じの方も多いと思います。
それでは、なぜ新型コロナウイルスの感染の初期症状として、味覚障害が起こる事が多いのでしょうか。
実は、その理由として、口の中に多く存在すると考えられるACEⅡ(アンジオテンシン・ツー)と呼ばれる受容体、そして歯周病も関係している可能性が考えられるのです。
新型コロナウイルスは、基本的に、目・鼻・口から体内に侵入するため、新型コロナウイルスの感染予防には、マスクの着用や手洗い、うがいなどが推奨されているのは、ご存じの事と思います。
ところで、基本的にウイルスは、細胞の中に侵入(結合)して増殖をするのですが、どんな細胞の中へでも侵入(結合)していくわけではありません。
細胞の表面に存在するACEⅡ(アンジオテンシン・ツー)と呼ばれる受容体(レセプター)がある細胞にのみ侵入して体内に入り、増殖していくのです。
ACEⅡ受容体は、肺、心臓、腎臓、腸などの細胞の表面に多く存在している事がわかっています。
そして、このACEⅡ受容体が、舌や口の口腔粘膜にも多く存在しているという研究機関の報告もあります。
また、舌には味覚を感じる味蕾細胞(みらいさいぼう)と呼ばれる細胞が存在します。
つまり、ACEⅡ受容体が多いと考えられる舌の細胞が、新型コロナウイルスに感染してしまうと、味覚を感じる味蕾細胞がウイルスによって破壊されるため、味覚障害が起こる可能性が考えられるのです。
ACEⅡ受容体は、細胞が感染して炎症が起きると、その細胞を保護するために増加する作用があります。
これを口の中で考えてみると、歯周病による炎症が、最も起こりえる炎症という事になります。
つまり、歯周病によって歯茎の出血や腫れなど、口の中に炎症が起こっている状態だと、舌や口の口腔粘膜の細胞の表面にACEⅡ受容体が増えて、新型コロナウイルスが侵入(結合)しやすい状態になってしまうのです。
そして、舌の細胞に新型コロナウイルスが侵入し感染すると、舌の味蕾細胞を破壊して、味覚障害という症状で表れてくるわけです。
したがって、歯周病の人は新型コロナウイルスへの感染リスクが高い可能性が考えられるのです。