神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
年齢を重ねても美意識の高い女性が増えてきた昨今、化粧品のパッケージや美容クリニックの広告からカフェのメニューに至るまで、さまざまな場面で「アンチエイジング」という文字を目にします。肌やボディラインが老化しないよう努力している女性は非常に多いことでしょう。肌にシワができ、ヒップラインが下がるのと同じように、口の中にもエイジングサインは現れます。アンチエイジングには積極的でも、口元になると無頓着という方は少なくありません。今日は、お口のエイジングサインについて考えてみましょう。
①歯が伸びて間に隙間ができる
年齢を重ねると歯が伸びてくる。そんな風に認識している方は少なからずいらっしゃるでしょう。しかしこれは、厳密に言えば間違いです。歯が伸びているのではなく、歯茎が下がってきているのです。歯茎が下がっていくことで、その中に隠れていた歯の根元の部分が露出し、長くなったように見えてしまいます。そして、歯は根本にいくほど細くなっていきますから、歯茎が後退すると歯と歯の間に隙間ができます。これはブラックトライアングルと呼ばれ、代表的なお口のエイジングサインのひとつです。では、なぜ年齢を重ねると歯茎が下がってしまうのでしょうか?その原因は、歯周病にあります。歯周病が進行すると、歯と歯茎のあいだにある隙間「歯周ポケット」に菌が入り込んで、炎症を起こします。すると、私たちの骨には炎症から逃げようとする(みずから骨を破壊・分解して炎症部分から退く)機能が備わっていますので、自然に歯を支えている歯槽骨の量が減っていくのです。そして、骨を覆っている歯茎もいっしょに下がってしまいます。つまり、歯周病にかかっていない方であれば、加齢に伴って大幅に歯茎が下がることはありません。とはいえ、歯周病は日本人のほとんどがかかる病気であるといわれており、30代の5人に1人、40代の4人に1人、50代前半では3人に1人の割合で歯周病患者が存在することがわかっています。よって結果的には、加齢によって歯周病が進行する=加齢によって歯が伸びるといっても過言ではないのです。
ブラックトライアングルの対策としては、まずはセルフケアと歯科医院でのメインテナンスをきちんと行い、歯周病にならないようにすることが大前提です。歯周病で歯槽骨が減ると、歯の支えが弱くなり、最悪の場合、歯を失うことにもなります。お口の機能を損なわないためにも、しっかりと予防に取り組みましょう。ブラックトライアングルになってしまった、または気になっている場合は、レジン(プラスチック製の詰め物)ですき間を埋めたり、ヒアルロン酸注射を打って歯茎を膨らませたりといった方法もありますが、これらは根本的な解決方法とはいえません。並行して歯周病治療を行い、原因解決を促すことが大切です。