神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
明らかな虫歯などの原因はなさそうなのに歯がしくしくと痛む、そのようなときはもしかしたら「歯科心身症」かもしれません。今回は引き続き歯や歯茎に悪い部分がないのに痛みが続く「歯科心身症」についてお話したいと思います。
歯のクリーニングを行っても歯の痛みが解消されない場合には、歯科心身症の疑いがあると判断されます。受診した歯科医院が心療歯科的な治療を実施している場合には、そのまま問診へと進みます。心療的な治療を行っていない場合には、心療歯科を扱う他の歯科医院に行きます。
②問診
歯科的治療が必要ないということが分かったら、心療歯科的な問診を開始します。痛みがいつからあるのか、どのようなときに痛みがあるのか、そして、歯以外の痛みや気になる症状などについて詳しく話します。このように医師と話をすることで、歯科領域以外の身体的疾病から来る痛みなのか、精神的または社会的な事柄に起因する痛みなのかを判断していきます。
ペーパー形式や問診形式の心理テストなどを行うこともあります。痛みを訴える患者の精神状態を把握するために、いくつかの手法を用いて、可能性を絞り込んでいきます。
③心理療法と薬物療法
歯科心身症であるということが確定されたら、カウンセリングを用いた心理療法と投薬治療による薬物療法を実施していきます。症状が軽微だと判断されるときは、心理療法だけで治療を進めていきます。
心理療法は、主に痛みの原因を患者自身が理解することを目指します。歯科治療に対する不安から架空の痛みが生じて現実の痛みに変じたケースもありますし、歯科以外の身体的な不安から痛みが生じて歯科領域の痛みに変じるケースもあります。いずれの場合でも、痛みの理由を患者自身が理解することで、痛みが実際に起こっていないことに気付くことができるようになります。
薬物療法は、主に向精神薬を用います。不安が高じて痛みになっている方も多くいますので、向精神薬で状況の変化を目指すのです。1ヶ月ほどの投与で痛みがなくなることもありますし、痛みの解消までに1年ほどかかってしまうこともあります。用法を誤ると問題が大きくなることもありますので、指示に従って正しく服用するようにしましょう。
痛みが改善された場合は、適切なタイミングで治療を終了します。また、治療を行う間に身体的・精神的な疾患が見つかった場合は、内科や精神科などの他の診療科への連携を取ります。