神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
歯科医院で治療を受ける場合、軽い虫歯であれば、数回の通院ですべての治療が完了することが多いです。歯を削り、穴があいた部分には、金属やレジンなどを詰めて終わりとなります。けれども、重症化した虫歯などでは、処置内容も複雑になってくるため、通院回数も増えてきます。その際、仮歯と呼ばれる、文字通り仮の歯が作られることがあります。仮歯は「治療中の応急的に作られた歯」ですので、本来の正規の被せものとは性質が異なります。そこで今回は仮歯について、使用される材料やその特性、そして何よりなぜ、仮歯を作らなければならないのかについて詳しくお話したいと思います。
ほとんどの歯科医院では、仮歯は「即時重合型アクリル系レジン」という樹脂を使って作ります。セラミックや金属のような強度のあるものではないので、硬いものを食べたりすると破折する可能性があります。また、即時重合型レジンはキメが粗く、長期間使用していると、着色や汚れが目立つようになるため、治療中の歯を清潔に保つことが難しくなっていきます。汚れがついたままだと、新しい虫歯を作り、炎症がひきにくく痛みや違和感がとれない、などの原因にもつながります。
それから、仮歯を着けるセメントは、あまり接着力の強いものは使用しません。あくまで治療中の歯であり、外れやすくなければ、次の治療へ進むことができなくなるからです。ですので、わざと接着力の弱いセメントを使用します。そのせいでガムやキャラメルなどの粘着力の強い食べ物などは仮歯がはずれやすくなっているので注意が必要です。
では、なぜ仮歯を作る必要があるのでしょうか。
仮歯は、本来の被せ物と比べると、あまりにも短所が多い補綴物といえます。壊れやすく、汚れやすく、外れやすい。これでは、仮歯を作る必要性が見い出せませんよね。けれども、 そんな仮歯でも、次に挙げる4つのように、非常に重要な役割を果たしてくれています。
①口腔内で起こる変化を防止
虫歯治療で多くの歯質を失うと、何もないスペースが生まれます。私たちの口腔内では、そのスペースを埋めるように歯が移動したり、歯茎が覆い被さったりしてきます。そうなると、最終的に入れる予定だった被せ物が入らなくなってしまいます。仮歯はそうした変化を抑止する働きがあります。
②審美面の回復
子供のころ、誰もが経験したことがあるかと思いますが、歯が1本抜けているだけでも、審美性は著しく低下するものです。仮歯を装着することで、治療期間中も何も気にせず笑顔になることができます。
③歯が担っている機能を回復
歯はものを噛む際に必須の組織です。ですので、仮歯があることで治療前と同じように食事をすることも可能です。その他、歯は言葉をしゃべる際にも、大きな役割を果たしています。高齢の無歯顎の方が、上手く言葉を発音できないのはそのためです。つまり仮歯は、構音機能も回復してくれるのです。
④外部の刺激から歯を守る
治療途中の歯は、ある意味むき出しの状態です。温熱刺激や歯ブラシの機械的刺激も直接受けてしまいます。そして何より、口腔内の細菌に晒されている状態といえます。仮歯を付けることで、こうした外部の刺激から、治療途中の歯を守ることができます。
仮歯を入れる流れも簡単に説明しますね。
仮歯を入れる部分のかぶせ物を外します。
歯に会わせて、入れる仮歯を削りだして作ります。そしてその仮歯を装着します。
仮歯は長期間使用できるわけではありません。一時的に見た目も回復し、咀嚼の手助けもしてくれます。だからといってもそれが治療のゴールではありません。
仕事や予定で忙しさに追われ、仮歯が入ったからといってしばらく歯科医院を受診しないとなると、再び虫歯が進行し、悪循環へと入っていきます。 「治療は今日で終わりです」と歯医者さんに言われて初めて治療のゴールといえるんです。
何も気にせず、美味しくご飯を食べたり、笑顔で生活できるよう、仮歯をそのままにせずに頑張って治療に行きましょう。