神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
みなさん、歯垢を食べカスと思っている方は多いのではないでしょうか。歯垢とはプラークとも呼ばれる細菌のかたまりで、虫歯や歯周病だけではなく心筋梗塞や糖尿病など命に関わる病気の原因になることもあるのです。今日は歯垢が及ぼす身体への影響と歯垢を取り除く方法についてお話ししたいと思います。
まず、歯垢(しこう)とはなにかご存知ですか?
ずばり、歯垢は細菌のかたまりです。
歯垢はプラークとも呼ばれ1mg中には数億から10億個もの細菌がいて、300種類の細菌が存在しています。その中には虫歯菌や歯周病菌も含まれおり、これらの菌が止まらない毒素や酸を出すことにより、歯周病や虫歯が起こります。
食後8時間で歯垢はつくられるといわれています。
お口の中の細菌は食事の時の糖を餌にして、歯の表面にネバネバしたものを作り出します。そこを住みかにしている細菌のかたまりを歯垢と言います。歯垢は食後8時間位で作られ始めます。付着力が強く、うがいやリステリン程度では取れないので、歯磨きやデンタルフロスでこすり落とす必要があります。
歯垢は白色、時間が経つと元黄白色で舌で触るとヌルヌルしているように感じます。目では確認しにくいため、歯垢を染める「歯垢染色剤」という物があります。
歯垢が引き起こすお身体への影響はどんなものでしょうか。
歯垢の中に、虫歯を作り出すミュータンス菌という虫歯菌が存在しています。食事した時の糖分を取り込み、酸を作り出し、歯を溶かします。溶かされた歯は唾液の成分で元に戻りますが、歯垢が長く歯に付いていると歯に穴が空いてしまい元に戻ることが出来なくなり虫歯となります。
また、歯垢の中の歯周病菌が作り出す毒素によって、歯茎が攻撃され出血したり、腫れたり、歯を支えている骨を溶かされたりします。これが歯周病です。成人の約80%が歯周病と言われて、歯垢を取り除くことで予防や改善することができます。
自分ではなかなか気付けない口臭も歯垢が原因の場合があります。
歯垢に含まれる細菌がガスを出すため、臭いとなって出てきます。また、歯垢によって起こった虫歯や歯周病によっても口臭が起こります。
歯垢の中の歯周病菌は、歯周ポケットから歯肉の中に入り込み、毛細血管から大きな血管へ、そして心臓へと送られて全身をめぐります。心臓に発症する細菌性心内膜炎のほとんどは、お口の中の細菌が原因です。そして、歯周病菌が血液に感染すると、血栓が出来やすくなり、動脈硬化、心筋梗塞を引き起こしやすくなるとも言われています。
また高齢者の方には危険な誤嚥性肺炎の発症のおそれもあるんです。
食べ物や唾液を飲み込んだ時、誤って気道へ入ってしまい、歯周病菌が肺や気管支に感染することによって発症します。特に高齢の方、寝たきりの方は、吐き出したり、咳をしたりといった動作が難しくなっていくので、細菌を体の外へ出すことが出来ず、感染しやすくなるため注意が必要です。
また、歯周病と糖尿病は、お互いに状態を悪くし合います。歯周病は、細菌によってつくられた炎症物質が、血糖値を下げるインスリンの働きを抑制するため、糖尿病を悪化させていきます。糖尿病は、歯周病菌に対する防御力が低下するため、細菌が感染しやすくなり、歯周病を悪化させていきます。
他にも、妊婦さんは要注意、低体重児出産、早産の危険性もあります。
妊娠中は、女性ホルモンの分泌が増えて細菌が増殖しやすくなったり、つわりでなかなか歯磨きが出来なかったり、歯周病が進行しやすくなります。母親が歯周病になっている場合、低体重児出産や早産となる確率が7倍以上になると言われています。