妊娠性歯肉炎のお話①

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みなさん、妊娠した方に生じる歯周病があるのはご存知でしょうか?それは、妊娠性歯肉炎です。
妊娠性歯肉炎と普通の歯肉炎はどのような違いがあるのでしょうか。今回は、妊娠性歯肉炎についてお話したいと思います。
妊娠性歯肉炎とは、妊娠中の女性によくみられる歯肉炎です。
統計調査によってかなりの幅がありますが、妊娠女性の10〜70%ほどの頻度で起こるとされています。
妊娠性歯肉炎の原因は、プロゲステロンという女性ホルモンが増えることにあります。
プロゲステロンが体内で増えることで、血管壁の性質が変わり、血液成分などの透過性が良くなることが原因とされています。
ただし、プロゲステロンが増えるからといって、必ず妊娠性歯肉炎になるというわけではありません。
歯ぐきを腫らしてしまう何らかの刺激があって、初めて妊娠性歯肉炎が発病します。
つまり、妊娠したことによって、組織の代謝が異常を起こし、歯ぐきがさまざまな刺激に敏感に反応するようになり、歯ぐきが腫れると考えられています。
歯周病は、歯周病菌とよばれる細菌が原因で起こる病気です。
この点は妊娠性歯肉炎も同じですが、妊娠性歯肉炎の場合は、プレボテラ・インターメディアという細菌の関与が強いとされています。
妊娠性歯肉炎と言いますが、症状そのものは普通の歯肉炎とほとんど同じで、歯ぐきの腫れや痛み、歯みがきをした時の出血などが主な症状です。
多くの場合、妊娠5〜20週目ごろから歯ぐきの腫れや出血がみられるようになります。
そして、妊娠32週目ごろになると口臭も伴うようになってきます。
妊娠中に歯周病になると、その影響は母体だけでなく胎児にも及びます。
妊娠性歯肉炎で注意しておかなければならないこと、それは、早産や低体重児出産のリスクです。
妊娠している女性の体内では、出産の時期が近づいてくると、プロスタグランジンという物質が通常の10〜30倍も分泌されるようになります。
プロスタグランジンが引き金となり、分娩が始まるのです。
ところが、プロスタグランジンという物質は、歯周病による歯ぐきの炎症を抑えることを目的に、歯周病によっても生み出されます。
分泌される目的は異なりますが、プロスタグランジンという物質には変わりがないので、歯周病によって作られたプロスタグランジンによって、子宮の収縮が促されます。
そのため妊娠性歯肉炎には、早産や低体重児出産のリスクがあるのです。
妊娠性歯肉炎は、適切な治療を受ける必要があります。

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