タイトル:はちみつやメープルシロップはむし歯にならないの?
神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
砂糖はむし歯の原因になりやすいというのはみなさんご存知かと思いますが、
はちみつやメープルシロップなら別に大丈夫と思われている方が多くないでしょうか?
実は、はちみつはぶどう糖と果糖が主成分のため、砂糖に比べれば、むし歯になりにくいかもしれません。ただ、メープルシロップは砂糖と変わりません。
砂糖がむし歯の原因と言われる理由は主に2つあります。
ひとつは、むし歯の菌であるミュータンスレンサ球菌が砂糖から「不溶性グルカン」という水に溶けない粘着性の多糖体を産生し、歯面のプラーク形成に重要な役割を果たすことです。多くの糖類の中で、不溶性グルカンの合成の原料となるのは砂糖だけです。
もうひとつは、代謝してむし歯を含めた様々なお口の中の細菌が酸を産生し、歯の脱灰を起こすことです。この場合は、砂糖以外の糖からも酸は産生されます。
それでは、はちみつやメープルシロップの中身はなんでしょうか?
文部科学省の食品成分データベースによると、ともに炭水化物(糖質)が主成分であることは砂糖と同じです。しかし、糖質の種類を見ると、はちみつは「ぶどう糖」と「果糖」が主成分で、「砂糖」の存在はほんのわずかです。
ぶどう糖と果糖からはむし歯菌による不溶性グルカンの産生はされないため、はちみつを食べてもプラークが形成されにくいということになります。しかし、多くのお口の中の細菌はぶどう糖と果糖から酸を産生するため、はちみつの過剰摂取はむし歯を誘発する可能性があります。
また、ある種のはちみつ(マヌカハニー)にはむし歯菌を含め口腔細菌に対して抗菌作用があることが報告されており、砂糖に比べるとむし歯になりにくいと考えられます。
一方、メープルシロップに含まれている炭水化物の主成分は砂糖なので、むし歯の誘発効果は砂糖と変わらないでしょう。
炭水化物の他に、はちみつとメープルシロップにはポリフェノールが含まれており、その健康効果が報告されています。すでにお茶のポリフェノールに関しては、むし歯を抑制してくれることが分かっています。今はまだ分かりませんが、はちみつやメープルシロップのポリフェノールも、将来研究が進んでむし歯抑制効果が明らかになるかもしれませんね。
口に入れるものも知識があればあるほど、健康な毎日を送れます。色んなお話をご紹介させてくださいね!