神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
タバコが体に悪いということはみなさんご承知のことでしょう。でも、なぜ体に悪いのか、どのようなメカニズムで体に害を与えているのかを知っていますか?タバコはじわじわと体のいたるところを蝕んでいきます。お口の中も例外ではありません。むしろ、お口はタバコが最初に通過するところなのでその影響を一番受けるところなのです。毎日タバコを吸っていると、目に見えなくても歯茎や口の粘膜には異変が起こっています。特に知っておいていただきたいのが歯周病とタバコの関係です。タバコで歯を失わないためにも、タバコが歯茎に与える影響について知っておきましょう。
喫煙が歯茎に及ぼす影響とはどんなものがあるのでしょうか。
タバコを吸うと歯周病のリスクが5倍以上になるんです。
歯周病のリスクファクターには、歯垢や歯石、タバコ、糖尿病、過剰な噛み合わせの力などがありますが、タバコはその中でも最大のリスクファクターであると言われています。報告されているデータによれば、1日に10本喫煙している場合、歯周病にかかるリスクが非喫煙者に比べ、5.4倍にも上がるという結果が出ています。
このような話を聞くと、「自分は少ししか吸わないから大丈夫」と思う人がいるかもしれません。しかし、タバコの場合、1日の量が少なければそのリスクは減りはするものの、リスクが全くゼロになるわけではありません。アルコールの場合は「少量であればむしろ健康に良い効果をもたらす」と言われますが、タバコに関しては全くそうではないのです。
タバコを吸い続けていくと歯周病が劇的に悪化するんです。
また、歯周病の患者さんを10年間継続して観察していった研究によると、タバコを吸わない人の場合は歯周病にかかっている歯の本数や、歯を支えている骨の破壊はそれほど変化がなかったのに対し、タバコを吸っている人に関しては、歯周病にかかっている歯の本数が増え、歯を支えている骨も明らかに破壊されてしまっていることがわかりました。これは歯周病原菌の内毒素が、タバコに含まれるニコチンによって病原性を高め、歯の周囲の組織をより破壊するためです。
タバコを吸っていると歯周病であることに気づきにくいのです。
喫煙していると、血管が収縮し、血流が減ります。そのため通常歯周病の炎症が起こっている時に見られる出血が起こりにくくなり、歯周病の発見を遅らせてしまうことがよくあります。また、喫煙によってメラニン色素が歯茎に沈着し、歯茎が赤黒く変色することにより、歯茎の炎症が分かりにくくなります。このようなことから、タバコを吸っている人は歯周病にかかっていることに気づきにくい傾向があります。
タバコを吸っていると歯周病治療をしても治りにくいです。
通常、歯周病の治療を行うと歯周病原菌は減少します。ところが、喫煙者の場合、歯周病の治療を行っても歯周病原菌はなかなか減らないことがわかっています。また、喫煙者には非喫煙者に比べ、特定の強力な歯周病原菌が多く見られることもわかっています。
しかも喫煙者の歯茎には、歯周ポケットが浅くても、つまり歯周病が軽度であっても歯周病原菌が多く存在し、軽度の歯周病でも進行しやすい状況にあります。これは歯茎の血流が少なくなることにより、歯茎が酸素不足になるため、空気を嫌う歯周病原菌が増えやすいためと考えられます。また、ニコチンが歯根の表面に沈着することで、歯周組織が治ろうとしても、それを阻害してしまいます。そのため治療を行ってもタバコを吸い続けている限り、歯周組織はどんどん破壊されてしまうのです。
今からでも遅くない!タバコをやめれば歯周病のリスクも下がるんです。
禁煙をすると、歯茎の血流量などは約2週間というかなりの短期間で、タバコを吸わない人と同じレベルになることがわかっています。しかし、喫煙による歯周病のリスクを下げるためにはある程度の期間が必要です。それはそれまで蓄積したリスクがあるためで、喫煙者が非喫煙者と同じレベルの歯周病リスクにまで減少するためには、禁煙してから10年以上必要だとされています。
喫煙している人は今からでも遅くありません。できるだけ若い年齢のうちに禁煙することがいち早く歯周病リスクを下げることにつながります。歯周病は体の様々な病気の原因にもなっています。禁煙してお口の健康、体の健康を取り戻しましょう。