神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
みなさん牛乳は飲まれますか?牛乳は虫歯になるのか?と考えられたことはありますか?
寝る前に牛乳を飲んで、歯磨きをしないで寝たら虫歯になるのかどうなのでしょうか?
砂糖入りのミルクを飲んだら虫歯になりやすい、というのはわかるけれど、ただの母乳や人工乳を夜、飲んでそのまま寝ても虫歯になることがあるのでしょうか?
まず、虫歯のでき方を簡単にまとめると、砂糖(ショ糖)が含まれるものを口の中に長い間入れておくと、ミュータンス菌などの虫歯の原因菌がつくるショ糖をエサにして酸をつくり、歯の表面のエナメル質が溶けて(脱灰)、虫歯ができます。
牛乳や母乳にも糖分は含まれていますが、それはラクトース(乳糖)という糖類で、これらはミュータンス菌などのエサにはなりません。したがって牛乳やミルクのみが口の中にあっても、虫歯になることはないはずです。
しかし、臨床研究においては、母乳を長期にわたって日中や夜間に何回も自由に飲んでいると虫歯になりやすいという報告は以前から複数あります。特に夜間の哺乳瓶でのミルクは虫歯リスクが高いとされています。
なぜ、砂糖のふくまれない母乳やミルクを飲んでも虫歯になりやすいといわれているのか。
理由として、唾液の少ない夜間に、母乳や牛乳の残差物が口の中にあると、虫歯を促進するという説がありますが確定的ではないようです。
虫歯の原因菌はミュータンス菌以外にも存在するので他の菌が影響している可能性もありますね。
一方で、牛乳や乳製品には、カルシウムやリン酸塩、カゼイン、脂質にはそれ自体に潜在的な虫歯の抑制作用がある成分が含まれています。
牛乳や母乳に含まれるラクトフェリンには抗菌作用があることも知られています。
特に、カゼインというリンタンパクはエナメル質が溶ける(脱灰)を抑制し、再石灰化を促進する効果があるといわれています。
日中に牛乳の摂取量が多い小学生はフッ素補助剤を使っていない、口腔衛生が悪い場合でも広範囲にわたる虫歯が少なかったという報告もあります。
しかし子供の食生活と虫歯の関係についての研究は少なく、この相関関係が本当にあるかどうかは定かではありません。
ちなみにカゼインの量は牛乳に比べて母乳はとても少なく、一方乳糖(ラクトース)は牛乳に比べて母乳のほうが多いとのことです。
動物実験(ラット)では、母乳や人工乳は牛乳より虫歯になりやすかったという報告もあります。
牛乳を飲んだまま寝ることが、直接虫歯に結びつくという確証はなく、
牛乳自体には虫歯予防効果があります。
とはいえ牛乳などに含まれるカゼインの脱灰抑制、再石灰化促進という効能も、歯の表面にプラークがあったら効果がありません。(むしろ虫歯リスクになるかもしれません)
磨き残しを完全にゼロにするのは現実的には不可能なので、寝る前に牛乳をわざわざ飲むメリットはないかな、というのがとりあえずの結論です。
そしてもし牛乳を飲んだまま寝たいなら、夜の歯磨きは念入りに…というのが大事なことですね♪