神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
厚生労働省が行った調査によると、歯を失ってしまう原因として最も多いのは「歯周病」で42%、次いで「虫歯」が32%となっています。しかし、意外と知られていないのが第3位の原因となっている「歯根破折」(しこんはせつ)です。あまり聞きなれない言葉ですが、簡単にいうと「歯の骨折」です。歯周病や虫歯のような病気ではなく、ある日、突然歯が割れたり、ヒビが入ってしまったりする現象です。歯を失う原因としては11%という低めの数字ですが、歯根破折になってしまった場合はほぼ100%抜歯、つまり歯を抜くことになるのです。特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある人、または格闘技やサッカー・バスケットボールなど接触があるスポーツを行って いる人は要注意です。今回はそんな恐ろしい歯根破折についてご説明したいと思います。
まず、歯根破折とはどのようなものでしょうか?
歯根破折とは、外見からわかる「歯が欠けている」「歯が折れている」というものではなく、歯茎の中の見えない歯根部分(歯の根っこ)が割れてしまったり、ヒビが入ってしまう現象のことです。歯は通常の骨と違って、自然治癒することはありません。歯根破折のまま放っておくと該当部分から細菌が入り込み、歯の内部から侵食されてしまいます。主な症状としては「歯茎が腫れる」「膿が出る」「違和感がある」などがあります。神経が生きている場合は「激痛が走る」こともありますが、ヒビ程度のものなら痛みを感じないことも多く、レントゲンを撮って初めてわかることも珍しくありません。そして、歯根破折の恐ろしいところは、ほとん どが「抜歯」になってしまう点です。また歯根破折は、歯が健康な人にでも突然起こってしまう可能性があります。ただし、歯が折れる原因さえ知っておけば予防は可能です。
では、歯根破折はどのようなタイミングで起こっているのでしょうか?歯が折れる原因として、上位のものをまとめてみました。
①スポーツ
スポーツにおいては空手やボクシングなどの格闘技で最も多く、他にはサッカー、バスケットボール、ラグビーなどの球技でも歯根が折れてしまう人がいます。歯をぶつけないように気を付ければ大丈夫と思う方もいるかもしれませんが、スポーツでは「噛みしめ」による歯根破折も少なくありません。力を入れるときには歯を強く噛みしめると思いますが、このときに歯が割れたり、ヒビが入ってしまうことが多いのです。また「転倒したとき」に上の歯と下の歯がガチンとぶつかって歯根破折になることもあります。歯を保護するためにもこのようなスポーツを行う場合、「マウスピース(マウスガード)」を装着するようにしましょう。マウスピースというと、 ボクシングやアメフトの選手が装着しているのが有名ですが、近年はそれ以外のサッカーやバスケットボール、柔道などのスポーツでも義務化または推奨の動きが進んでいます。健康目的の軽い運動だとしても、なるべく装着しましょう。これはロコクリでも作ることが可能です♩②食いしばり・歯ぎしり
ストレスによる不安や緊張によって無意識に「食いしばり」や「歯ぎしり」をしてしまう人は少なくありません。噛みしめ時に奥歯にかかる力を測定した研究によると、健康な成人男性の場合は平均59kgという結果になったそうです。体重に匹敵する力が慢性的に加われば、歯はボロボロになり、やがては歯根破折になってしまいます。食事をしていないときでも上下の歯をくっつけている人や、寝起き時に歯がムズムズするという人は「食いしばり」または「歯ぎしり」をしている可能性があります。これらの癖の有無は、歯科医院でチェックすることが可能です。歯周病や虫歯ではないのに歯に違和感があるという人は、念のため診察を受けることをおすすめします。
③食べ物
硬いものをよく噛むと顎が鍛えられるだけでなく、脳の活性化につながります。ただし、以下のようなものを噛みすぎると歯根が割れてしまうことがあるので注意してください。
• ナッツ類…アーモンド、ピーナッツ、ジャイアントコーンなど
• 乾燥食品…スルメ、ビーフジャーキー、煮干しなど
• お菓子…キャラメル、アメ、せんべいなど
老化によって歯が折れやすくなることはありますが、若い人でも折れるときは折れてしまうので、これらの硬固物をよく食べる習慣がある人は、なるべく控えるようにしましょう。
歯根破折の主な治療方法は「抜歯」です。歯周病や虫歯にならないためにしっかりと歯磨きをすることも重要ですが、歯に負担がかからないようにすることも同じくらい大切です。自分の歯を守るためにも、普段からの心掛けが重要です。歯に違和感がある人は、なるべく早く治療を受けるようにしましょう。