神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。食べ物をよく噛んで味わうことを咀嚼(そしゃく)といいますが、この作業は私たちが生きていくうえでとても大切です。健康な歯で食べ物をしっかり噛むことは、全身の健康維持に大きな効果があります。「よく噛んで食べる」健康効果を見直してみましょう。
まず、咀嚼が身体に及ぼすよい影響について知っておきましょう。
①食べ物の消化・吸収によい
消化酵素のアミラーゼを含む唾液の分泌を促し、胃腸での食べ物の消化吸収を促進します。また、よく噛まないと、消化器官に余分な負担がかかり、消化不良を起こすこともあります。
②むし歯・歯周病予防
唾液の分泌がよくなり、唾液に含まれる免疫物質が細菌を減少させるため、口腔内の清潔が保たれ、むし歯や歯周病の予防につながります。
③がんや老化を予防する
唾液に含まれるペルオキシターゼというたんぱく質には、発がん性物質の発がん作用を抑える働きがあります。また、ペルオキシターゼには、老化現象など、身体に悪影響を与える活性酸素を抑制する働きもあるので、よく噛むことは老化防止にもなります。
④脳を刺激、活性化する
おいしい・まずい、固い・軟らかい、熱い・冷たいなどと感じたり、噛むという作業により、頭部の骨や筋肉が動き、血液の循環がよくなることで脳神経が刺激され、脳の働きが活発になります。
⑤ストレス解消と肥満防止
早食いをせず、ゆったりと時間をかけて楽しく食事をするということは、緊張をほぐし精神を安定させ、ストレス解消にもなります。また、食事に時間をかけることにより、満腹感が得られ、食べ過ぎによる肥満防止の効果もあります。
⑥強いあごをつくる
固い物をよく噛んで食べると、上下のあごの骨や顔の筋肉が発達し、丈夫なあごをつくります。あごが充分に発達していないと歯並びが悪くなり、運動能力が低下するなど、いろいろと健康を害する問題が生じます。
さて、咀嚼の大切さ、健康に及ぼすよい影響については、おわかりいただけたでしょうか?
ところが現代人は、食事にかける時間が減ってしまったこと、軟らかい食べ物を好むようになったことなどから、噛む回数が激減しています。
女王・卑弥呼の時代(弥生時代)の人びとは、1回の食事に約4000回も噛んでいたといいます。それが江戸時代には半分以下になり、戦前までは大差なかったのですが、戦後50年間でさらに大幅に減少、現代人が1回の食事で噛む回数は、約600回といわれています。
その結果、しっかりよく噛むことを忘れた現代人は、医療の発達のおかげで「長生きにはなったが不健康な人も数多くいる」という、あまり喜べない状況になってしまったようです。