神戸市東灘区岡本にある歯医者さん、阪急岡本駅から徒歩2分の岡本歯科ロコクリニックです。
今回は、どうして歯医者での治療が長いかについてお話したいと思います。
なぜ、歯医者に何度も通う必要があるのか?時々、患者さんからこんなことを聞かれる時があります。
「歯医者に通わなきゃいけないのはわかっているんだけど、あんまり何回も何回もこれないんだよね。一回で何とかならないの?」「何回も通わせるのは金もうけのため?」と思われることもあるかもしれません。
確かに時間がかかってしまうのは患者さんにとっても負担ですよね。でも、時間がかかってしまう理由があるんです。まずは、何度も回数がかかることについてです。風邪をひいて熱が出た場合、内科などのお医者さんに行くと、「風邪ですね。お薬を出しますので様子を見ましょう。しばらくしても熱が下がらなかったらまた来てくださいね。」と言われますよね。これに対して虫歯で歯が痛くなった場合、歯医者さんに行くと、「虫歯ですね。神経をとって被せ物をしていくので4-5回くらいかかります。」
全く違いますね。これは、病気になってしまった場所の違いからくるものです。もちろん程度の問題はありますが、基本的には風邪などの場合は投薬治療(飲み薬による治療)がメインだと思います。細菌をやっつける抗生物質、熱を下げる解熱鎮痛剤などを処方して、根本的には体の免疫力で細菌などをやっつければ治っていきます。それ以上に免疫を獲得して、同じ病気にはかかりにくくなったりします。
それに対して歯科の場合、対象は歯や周りの歯茎(顎の骨)が原因です。通常の場合、これらの物には免疫力はありますが、再生能力、自己治癒力はない事がほとんどです。何か手を入れなければ、症状は進んでいく一方なのです。ここが大きな違いです。再生能力、自己治癒力に期待はできないのです。よって、お薬をのんで終わり、という事にできないのです。
また、いまだに普通の歯医者さんで歯の再生というのはできません。なので、虫歯になってしまったところは外科的に切除して再建する、といった方法しかとれません。
また、あくまで生体と違う素材を使って形を回復しているだけであって、前より強くなることはありません。歯医者さんで手を入れれば入れるほど、無くなる方向に近づいていきます。元通りにできない、という意味では歯医者さんに虫歯も歯周病も治せません。
もう一つ、違う側面から考えると、虫歯や歯周病は感染症でもありますが、生活習慣病でもあります。何か事故でなったわけではありません。虫歯や歯周病になってしまう人は、虫歯や歯周病になる習慣、環境があるのです。高血圧や、糖尿病と同じ側面をもっています。高血圧や糖尿病になって、一回、二回の診察で治ることは僕が知る限りあり得ません。
投薬と生活習慣の改善、両方頑張りつつ継続的に診察を受けなければいけません。
虫歯で歯に穴が開いたから、穴を埋めてくれればそれでよい、という患者さんはよくお見えになります。
埋めるだけならさほど時間はかかりません。でも、もう一度虫歯にならないような環境にしようとか、なぜ虫歯になったのか、というお話をして、その対策をしていくと時間はかかります。
もちろん患者さんお一人おひとりに事情はあると思います。
極端な話、来週から一年間北極に行く予定があり、まったく歯医者さんにかかることができないのであれば、通常は抜かない歯でも抜かざるを得ないでしょう。でも、今後も自分の歯で食事をしっかりしたいと思われるなら、そのためにできることは他にもあると思います。
例えば車で考えるとどうでしょう?タイヤがパンクして修理してもらいました。そのタイヤで高速道路を使い、長距離移動を安心してできますか?また、新車で買って2年乗るだけなら全くノーメンテで乗っていけるかもしれません。でも10年快適に乗ろうと思ったら、きちんとしたお店で点検や車検を受けて、勿体がらずにオイル交換などをした方が良いと思いませんか?ましてや、車はパーツを交換したり、乗り換えたりできますが、自分の口の中はそうはいきません。
ロコクリでは、できるだけご自分の歯で長くお食事ができるようにいろんなお話をしたいと思っています。みなさんも、私達と一緒にお口のことを考えていきませんか?