私たち、岡本歯科ロコクリニックでは皆さんにより安心して治療を受けていただけるように、様々な研修を受けています。
一般的な治療の研修やアシストの勉強、皆さんの歯科に対する過去の経験や、そこから生じたトラウマや不信感などを聴くことなど、少しでも安心して治療を受けていただき、過去に受けた経験と同じ想いをしなくて済むように、歯科医院が嫌だ、行きたくないという想いを繰り返さずに、むしろ行きたくなる場所になるよう配慮するなど、様々なことに取り組んでおります。
そのようにいろんなことをスタッフの皆んなで取り組んでいるおかげで、今のところロコクリでは大きな問題もなく診療をすることができています。
ただ、歯科医院であまり起こることはないのですが、それでも稀に起こってしまう可能性があるものとして、麻酔や薬剤に対するアレルギーや、治療時の痛みや精神的なことが原因で急に体調が悪くなったり、場合によっては意識不明になるケースがあります。そのようなとき重要となるのが、どれだけ迅速に正しい対応が出来るかということになります。そこで、そういう状態になるものとして、どのようなものがあるのか、どういう対応が必要なのかを解説していきたいと思います。
そのようなことが起こった場合、考えられるものとして主に挙げられるものが以下のものです。
①アナフィラキシーショック
②過換気症候群
③迷走神経反射(デンタルショック、疼痛性ショックともいう)
これらのうち、どれが起こっているのか、何をしなければならないかがポイントになります。
では、それぞれについて解説していきましょう。皆さんもこういうことを知っておくと、いざ家族や友人がこうなってしまった場合などでも使えますので、一度目を通してみてくださいね。
まず、①アナフィラキシーショックについてです。アナフィラキシーショックは、極めて短い時間のうちに全身アレルギー症状が出る反応で、アレルゲンを食べる、飲む、吸い込むといったことをきっかけにショック状態(血圧低下、意識障害などが起こり、命に危険が伴う状態)に陥っている状況を指します。
原因は、食べ物>蜂などの昆虫>薬物という順に多く起こっており、重篤な症状(心停止)まで至る平均時間は、食べ物=30分、蜂毒=15分、薬物=5分と言われており、歯科医院で起こる場合は薬物によるショックなので、時間がかなりポイントになります。
治療法としては、救急車に連絡をした上で、速効性があり効果が最も高いアドレナリン筋肉注射(商品名:エピペン)を第一に選択します。この注射を打ち、念のため病院を受診することで解決することが多いです。その後は、同じ薬剤は使わないように注意することが大切です。こういったアレルギー症状の場合、過去に起こっているケースもあるので、問診でしっかりと確認し、同じような経験をしなくていいように岡本歯科ロコクリニックではスタッフ皆んなで注意しています。
次に、②過換気症候群です。何らかの原因で呼吸を必要以上に行うことがきっかけとなり発症します。パニック障害などの患者さんに多くみられますが、過度の不安や緊張などから引き起こされる場合もあります。息苦しさや、呼吸が以上に早くなったり、動悸やめまい、手足や唇の痺れ、意識障害などを起こすことがあります。
対処法として、呼吸の速さと深さを自分や周りの人が意識的に調整すれば2〜3分で自然に治ります。かつては、紙袋などに口や鼻を当て、吐いた空気を再度吸い込むという行為を繰り返し、血中の二酸化炭素濃度を上げる方法(ペーパーバッグ法)が多く行われていましたが、現在は様々な理由から袋を用いる方法は有効性よりもむしろリスクの方が大きいという意見もあるため、あまり積極的には行われなくなりました。こういったことが起こらないようにするためにも岡本歯科ロコクリニックでは、問診でしっかり話を聞かせて頂いたり、治療前の説明をしっかりすることで、少しでも不安な状態で治療されることのないように配慮しています。
最後に、③迷走神経反射(デンタルショック、疼痛性ショックともいう)です。歯科治療時に起こる突然の身体的・精神的障害の総称で、基本的には血圧が低下し、脳や臓器の血流が悪くなり、生命を脅かすものです。
起こる原因として、治療時の痛みや恐怖心、麻酔の薬剤に対する中毒などが挙げられます。こういったことが少しでも起こらないように『ほぼ無痛』の治療を心がけています。そういう配慮をすることで、このようなリスクは大幅に軽減できるからです。
これら3つのようなことが起こった場合、どの状態になっているのか、どうすればいいのかを的確に判断することはもちろん、全ての症例において共通しているのですが、意識障害、心停止などが起こった場合は、救急車を呼んだ上で、心肺蘇生が必要となります。ここで特に重要なのが、心停止していた時間です。この時間の長さによって、死に至るリスクが上がったり、助かったとしても何かしらの後遺症が残る可能性が増します。
では、何がポイントなのでしょうか。それは必要な道具や機械がすぐに手に入るかどうかです。1分1秒を争う中で、必要なものが手に入らず、救えていた命が救えなくなるのは悲しいことです。
そこで私たちは岡本商店街の中ではまだ珍しいのですが、AEDを院内に常備しています。歯科医院内で何かが起こった時はもちろんですが、商店街で倒れた人がいた場合でも岡本歯科ロコクリニックのAEDはいつでもお貸し致しますので、遠慮なく仰ってください。
使うことがないのが一番ですが、万が一ということもあります。備えあれば憂いなし、という言葉の通り、あそこにはAEDやエピペンがあると知っておいてください。ロコクリは救える命を救うための準備はしています。
私たちの歯科医院だけでなく、岡本に関わる皆様の力になれればと思っています。